Cubase12のグレードごとにできることを簡単にまとめてみた
DTMとDAWソフトCubaseについて
Cubaseとは、スタインバーグから発売されているDAWソフトのことです。
公式HP:Cubase: 音楽制作ソフトウェア | Steinberg
こちらの記事をご覧の方はDTMに興味があり、お読みいただいた方がほとんどだと思いますが一応DAWおよびDTMの説明をしておきます。
DAW=「Digital Audio Workstation」の略で主にソフトのことを指します。
DTM=「Desk Top Music」の略で、パソコンを使って音楽活動を行う全般のことを指します。
今回は数あるDAWソフトの中でも、日本国内でのシェアNo1の「Cubase」についてご説明していきます。
ちなみに有名なDAWソフトでいうと下記のものがありますよ。
Cubase_公式HP:Cubase: 音楽制作ソフトウェア | Steinberg
世界トップクラスのシェアを誇る、初心者からプロまで使われる優等生。
Logic Pro_公式HP:Logic Pro - Apple(日本)
アップル社開発のmac専用ソフト。価格も安く使い心地もかなり良い
FL Studio_公式HP:FL Studio 20 - Image-Line Software | Hookup, Inc.
コスパ抜群。アップグレードも無償&プラグインの質もかなり高い
Studio One_公式HP:PreSonus | Studio One日本語ポータルサイト - powered by MI7
動作の軽さと音質の良さに定評がある
Pro Tools_公式HP:Pro Tools - ミュージック・ソフトウェア - Avid
プロの現場で使う業界では標準のソフト。高い・・・
音楽業界のプロとしてエンジニアをやりたいなら多分必須。
Cubaseには5種類のグレードが存在し、出来ることに違いがある
Cubaseには全部で5種類のグレードがあるのですが、出来ることに違いが出ます。
グレードは以下の様に展開されていますよ。
- PRO
- Artist
- Elements
はソフト単体で購入するグレードです。
まぁ実質、Cubaseラインナップの3大本命たちです。
そして
- AI
- LE
はバンドル品と言い、何かDTM関係の機材を買うとおまけでついてくる製品です。
下記のようなやつですね。
[2万くらいでAIが付属するオーディオインターフェイス]
[2万くらいでAIが付属するギターアンプ]
[1万くらいでLEが付属するオーディオインターフェイス]
まず基本的に覚えておいてほしいのですが、出来上がりに音質の差はそんなにありません。
また下位グレードを買っても、後々差額+αで上位グレードにアップグレードすることが可能です。
肝心の各グレードごとに何が違うのかというと、
「最上級版なら全ての機能が使えるところ、グレードが下がるとどんどん便利機能が使えなくなっていく」
といった違いがあります。
つまりは最上級モデルならソフトの魅力を100%活用できるところ、グレードが下がるにつれて一定の魅力しか発揮できなくなるということですね。
しかしだからと言ってProを買うのが一番いいとは限りません。
なぜなら、ほとんどの人はCubaseの機能を100%フルに使いきっていないからです。
パソコンのソフトを使ったことがあるならわかると思いますが、使うための知識、技術、経験がないと機能を引き出すことはできません。
なのでまずはご自身の使用用途や出来そうなことから逆算して考えて、今の自分に必要なグレードを選びましょう。
Cubaseのグレードごとにできること
まずはCubaseのグレードと大体の値段について説明していきます。
一応公式HPで各グレードの機能差異は一覧表になっていますが、情報量が多すぎて初心者の方とかは混乱するかもしれません。
公式HPの機能差異:Cubase シリーズ比較 | Steinberg
なので私なりに、よく使う機能を抜粋してまとめていきます!
1.よく使う機能_オーディオトラック数
[オーディオトラック数]
Pro | Artist | Element | Ai | LE |
無制限 | 無制限 | 48 | 32 | 16 |
ココに注意
ギターやボーカルなど録音したデータを扱うトラック数。
初心者は32トラックあればまず大丈夫!
オーディオトラック数とは、楽器や歌などを録音できるトラック数を指します。
DAWでは
- オーディオデータ
- MIDIデータ
というのがあるのですが、波形のような形で保存されるものを基本的にオーディオデータと呼びます。
ギターの録音や歌、ドラムの録音などマイクやシールドを通して録音するものはこれに該当します。
1つ注意なのが、作曲には音(サンプラー音源)を切り貼りして作曲する方法があります。
021_楽器できない人におすすめの作曲法_Cubaseで始めるDTM - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
そのような方はかなり多くのトラックを必要とします。
楽器を弾いて作曲するするなら、オーディオトラック数としては16~32くらいでも足りるかもしれません。
2.よく使う機能_VST インストゥルメント数
[VST インストゥルメント数]
Pro | Artist | Element | Ai | LE |
4 | 4 | 2 | 2 | 2 |
ココに注意
標準で搭載されている、ドラムソフトやシンセサイザー等のバーチャルソフト音源の数です。
巷にはたくさん便利なソフトも販売されているので、ここの数はあまり気にしなくても大丈夫。
しかしAi・LEに内蔵されている音源では種類が少なすぎるので、クオリティは下がるので、外部音源必須かも
VST インストゥルメント数とは、Cubaseに内蔵されているドラムソフトやシンセサイザーのことです。
こちらの記事を読んでもらうと、ソフト音源について何となく理解できると思います。
(Cubaseの中に、ドラムキットや高級ピアノを設置して演奏することが出来ます)
010_インストゥルメントトラックとは?(2)_Cubaseで始めるDTM - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
DTMの醍醐味であるソフト音源ですが、これが無いとやはりメリットは生かしきれないと思います。
が・・・・
実際にはCubaseに内蔵されているソフト音源では物足りなくなり、追加で音源を買うことになるのがほとんどです。
051_音源を追加するならまずこの2つは入れておけ!後悔しない圧倒的便利ソフトで脱初心者をかなえよう_Cubaseで始めるDTM - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
下記が内蔵されているグレードごとの対比表です。
この中で主に使うソフトは
●HALion Sonic SE 3(総合マルチシンセ)
公式HP:Free HALion Sonic SE | Steinberg
下記ページで音の確認もできます
意外と使えるHalion Sonic SE3のおすすめ音色はこいつらだ! - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
●Groove Agent SE 5(ドラム音源)
公式HP:Groove Agent SE (steinberg.help)
下記ページで音の確認もできます
033__Groove Agent SE(グルーヴエージェント)の使い方とパラアウト設定_Cubaseで始めるDTM - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
の2つだと思います。
その他のソフトは結局あまり使わい気がします。
(私はほとんど使いません)
ただしAI・LEに内蔵されているHalionはbasicセットとなっており、音源数もかなり少なくなっています。
お試し版ですね完全に。
なので、AI・LEを使用する方は、内蔵ソフトで納得のいく音が出せるとは思わないほうが良いです。
※TripとFluxはHALion Sonic SE 3内に組み込まれているので、数にはカウントしてません。
3.よく使う機能_VariAudio 3(ピッチ・タイミング編集)
[VariAudio 3(ピッチ・タイミング編集)]
Pro | Artist | Element | Ai | LE |
〇 | 〇 | × | × | × |
ココに注意
ボーカルを曲に入れるならピッチ・タイミング編集は必須!
Elemnts以下のグレードを買った場合、絶対に外部のピッチ編集ソフトを買う必要が出てきます。
VariAudio 3はオーディオデータ(ボーカル・ギター等)のピッチとタイミングを修正するソフトです。
例にもれずDAW用に外部ソフトとして編集ソフトは売ってますが、
個人的にVariAudio 3は極めて優秀なソフトだと思っています。
048_Cubase付属の無料プラグインでボーカルのピッチを修正する方法(Vari Audio)_Cubaseで始めるDTM - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
他社から出ているソフトでも似たようなことはもちろん出来るのですが、VariAudio 3と同じことまでやろうとするとそれなりに金額が行くと思います。
下記は著名なピッチ編集ソフトです。
[Melodyne]
[Auto-Tune]
安くても1万円ぐらいからですね。
DTMでピッチ編集・タイミング編集を行わないことはほぼないと思います。
自分の将来的な使い方をよく考えておきましょう。
4.よく使う機能_コードトラック
[コードトラック]
Pro | Artist | Element | Ai | LE |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ココに注意
コードを入力するだけで簡単な曲も作れる機能
全てのグレードで使えるからご安心を!
Cubaseが誇る便利機能「コードトラック」ですが、全グレードで使用可能です。
コードトラックとは、自分で表の中からコードを選択して入力できる機能です。
このコードトラックとMIDIを組み合わせると、半自動で演奏をしてもらうことが可能なのです!
もちろんコード譜としても活躍するので、作曲していて後からコードを忘れてしまうということもありません。
018_コードトラックの使い方と活用(1)_Cubaseで始めるDTM - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
5.よく使う機能_テンポトラック・拍子トラック
[テンポトラック・拍子トラック]
Pro | Artist | Element | Ai | LE |
〇 | 〇 | × | × | × |
ココに注意
ブレイクタイムや、変調の際に2小節だけの部分を入れる・・・とかで使う機能。
J-POPにおいては結構必要な機能なので、ないとそのうち困るかも
この機能の必要性は少しイメージしにくいかもしれませんね。
とりあえずJ-POPだと結構必要になる場面が多い気がします。
よくあるのが、サビ前に一瞬静かになって「バーン!」とサビとかに入るとき。
結構こういう時のブレイクタイムを4拍もとると長すぎるので、そこだけ2/4拍子にしたりしますね。
最初は作曲が満足に出来るようになるまでいらないかもしれませんが、ゆくゆくは必要になる機能だと思います。
※これは機能の話なので、下位グレードの方はアップグレードするしかありません。
6.よく使う機能_トラックバージョン
[トラックバージョン]
Pro | Artist | Element | Ai | LE |
〇 | 〇 | × | × | × |
ココに注意
全く違うパターンや、いろいろな方向性を検討してるときにすごく役立つ!
この機能なしだとかなりテンション下がるかも・・・
トラックバージョンとはこんな感じの時に役立ちます。
だけど今の状態のデータも残しておかないと不安だし・・・
といった時に活躍してくれます。
特にMIDIデータなんかをマルっと編集する際は、編集前のデータを残しておきたいものです。
そんな時にトラックを増やさなくても、このVer管理だけでどんどん新しい録音データを作成していけます。
あると助かるし、無いなら無いで小まめにファイルを別名保存していけばそんなに問題ありません。
要するに手間の問題ですね。
7.よく使う機能_パンチイン / パンチアウト
[パンチイン / パンチアウト]
Pro | Artist | Element | Ai | LE |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ココに注意
自動で録音を開始・解除してくれる便利機能。
録音時には欠かせない機能です!
パンチイン・パンチアウトは自動で録音のON・OFFを制御してくれる機能です。
恐らくどのDAWにもついている機能なんじゃないですかね?
これの有効活用としては、例えばサビの曲の一部分だけを取り直したい時に活躍します。
ギターもボーカルも中途半端なとこだけピンポイントで演奏すると、通しで録音した部分と絶対に違和感の差が出ます。 かといって前のフレーズからずっと演奏してると、余計な音まで録音されるし・・・
そんな時に必要な箇所のみ録音を有効にしておけば、自分自身は通しで演奏しててもOKです。
8.よく使う機能_インプレイスレンダリング
[インプレイスレンダリング]
Pro | Artist | Element | Ai | LE |
〇 | 〇 | × | × | × |
ココに注意
トラックの中で部分的にWAVEやmp3で音を書き出す機能。
いちいちプロジェクト全体を書き出す必要が無いので、あるとやっぱり便利な機能
インプレイスレンダリングとは、トラックの一部分をオーディオデータとして書き出すのに使います。
用途としては
1.MIDIデータをオーディオ化して逆再生させたい
(シンバルとかを逆再生させるのは非常によく使うテクニックです)
[逆再生したシンバル]
2.ボーカル・ギターのダブリング用として部分的に複製したい
3.シンセの音を細切れにして特殊効果を付けたい
といった時に使うと思います。
不要な音を全てミュートしてプロジェクトを書き出してもいいのですが、手間なんですよね~
このインプレイスレンダリングがあると、やりたい時にすぐ書き出しが出来るので便利な機能です。
9.よく使う機能_サイドチェーン
[サイドチェーン]
Pro | Artist | Element | Ai | LE |
〇 | 〇 | 〇 | × | × |
ココに注意
指定した音をきっかけに他のトラックの音量を調節したりするのによく使う
初心者のうちはなかなか使うタイミングが無いので、そこまで気にしなくてもよし
DTMをそれなりにやっていないとサイドチェーンという言葉はきき慣れないかもしれません。
EDM系を作る際は割と必須の機能だったりします。
例えばコンプという機能があるのですが、それと絡めて使うことが多い機能です。
014_コンプの使い方(1)_Cubaseで始めるDTM - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
サイドチェーンについては少し中級者向け内容なので、ここでは割愛します。
Sleepfreaks様でわかりやすい動画解説があるので貼っておきます!
10.よく使う機能_VST オーディオエフェクトプラグイン数
[VST オーディオエフェクトプラグイン数]
Pro | Artist | Element | Ai | LE |
81 | 59 | 45 | 28 | 23 |
ココに注意
マキシマイザーはElements以上からしか入っていない
AI以下のグレードはとりあえず最低限が入ってるのみなので、あまり使えなさそう・・・
外部のエフェクトプラグイン買うことになる可能性高し!
VST オーディオエフェクトプラグインとは、音の調整を行ったりするためのソフトです。
ギターやボーカルだと、リバーブやディレイといったものをよく使います。
その他周波数を調整するためのEQや、音量を調節するためのコンプ。
ギターアンプをCubase内に設置するアンプシュミレーター
その他リミッター・ゲート等・・・・・
上記の様に音を編集するためのソフトを総称して、エフェクトプラグインって呼んだりします。
私も始めたときは初心者だったのでわかるのですが、初心者にはエフェクトプラグインは難しい部分です。
特に下位グレードに入っているものは、使い方・原理を知っていること前提なので、使いこなすのが非常に手間!
そして、これも大体外部プラグイン買いだして使うことが結構ある。
とは言ってもElements以上に入って来るプラグインは、そこまで悪くないので私も使っています。
(外部プラグインと純正プラグインは7:3くらいの割合で使ってます)
041_【無料で使える!】Cubaseに付属するおすすめ純正エフェクトプラグイン_Cubaseで始めるDTM - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
※上記リンクで紹介しているプラグインのほとんどは、Elements以上でないと使えません。
かろうじてAutoPanがAI以下でも使えます。
まとめ
当然と言えば当然ですが、値段を出せばそれに応じて便利な機能が追加されていきます。
購入の際に
- 自分だったらどこまで妥協できるか?
- この先他に買い足すものはどのくらいでそうか?
- そもそもDTMを続けられそうか?
等をよく考えてから購入しましょう。
DTMを始める人は後を絶ちませんが、大多数の人は続かないでやめてしまいます。
その理由の一つに操作がわからない・思ってたのと違うというものが大きくあります。
そしてそれを引き起こす原因は購入前の調査不足によるものが大きいとおもっています。
実際にDTMというのは、未経験者が思うよりとても難しい趣味なのです。
バンドル以外なら下記の3種類
PRO
Artist
Elements
が候補になりますが、あなたはどのグレードが自分に一番合っていますか?
もしも導入してから操作がわからなくなってくじけそうになったら
DTMを使ってみて、ソフトの操作がわからない!
このプラグインは一体何者!?
ネットを見てもよくわからないんだけど、だれか助けて!
という場合は是非ご連絡ください。
レッスンの紹介 - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
出来ることなら、せっかくDTMを始められたのなら末永く趣味としてかかわってほしいです!
自分にぴったりのグレードが見つかると良いですね♪