016_コンプの使い方_Cubaseで始めるDTM
前回までの記事はこちらになります。
014_コンプの使い方_Cubaseで始めるDTM - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
015_コンプの使い方_Cubaseで始めるDTM - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
コンプのパラメーターについて
はいそれではいよいよ目的別にコンプの設定を変更してみようと思います。
まずはその説明の前に簡単に各項目の解説をしていきましょう。
まずコンプというのは「波形を自在に圧縮して音を変化させるためのもの」という認識を忘れないでくださいね。
1.アタック(Attack)=始業時間
アタックとは音の立ち上がりのことを指します。
コンプ以外でも同じですが、DTMにおいて「アタック」と言ったら全て音の立ち上がり部分のことを意味してます。
コンプについてアタックの調整は「音の立ち上がりから何ミリ秒経ってから圧縮を始めるか?」を調整しています。
ここの調整に関しては
アタックが早い=最初のインパクトが薄くなる(サスティンが持ち上がります)
アタックが遅い=最初のインパクトが強くなる(アタックはそのままにサスティンをつぶします)
みたいな感じです。
2.リリース(Release)=残業時間
リリースとは大体波形の後ろ側を調整する機能なのですが、厳密には
「圧縮した後、何ミリ秒ぐらいかけて圧縮を解除するか?」
を設定しています。
例えば、圧縮機能が電気のオン・オフみたいにスイッチをいじらない限りずっと機能してしまうとこんな感じになり困ってしまいます。
そうならないために、コンプには自動でオフになる機能が付いています。
それがリリースです。
そしてこのリリースの設定は、圧縮のフェードアウトのようなものと考えてください。
もしリリースが急すぎると
このように音の変化が激しすぎて、音割れや不自然な変化を起こしています。上記図は元の波形の形から崩れてしまって、波形が別の形になってしまっていますね。
そこでリリースをゆっくりフェードアウトさせてあげることにより波の形を極端に崩すことなく、圧縮を解除してあげるわけです。
これがリリースの仕組みです。
とりあえず「圧縮の仕事が終わった後、どのくらい残業してもらうか」を決めてる項目と覚えておいてください。
スレッショルド(Threshold)
スレッショルドとは音の圧縮対象範囲を決める項目です。
上記図の波形では山が大きいところほど、音量も大きくなっています。
このスレッショルドは「何dbより大きな音を圧縮する」というように、圧縮をかける音量のしきい値を決める項目です。
ここの設定次第で、ほとんどの音を圧縮するのか、一部大きい音だけを圧縮するのか決めることができます。
例えば上記の様に適度にスレッショルドが波形にかかっていると、いい感じに圧縮されて波形のムラがなくなります。
しかし・・・
このようにスレッショルドが波形にかかっていないと、圧縮対象範囲がほとんどないので、結果的に圧縮されません。
ですのでスレッショルドの設定が大切といわれるのは、ここの設定が疎かだとそもそも圧縮されないor圧縮されすぎてしまうからなんですね。
こちらはNeutron3で見るコンプのかかり具合と、音の変化です。
[スレッショルドが高すぎてコンプがかかっていない]
[スレッショルドを下げてコンプをしっかりかけている]
以上がスレッショルドの説明になります。
改めて見てもNeutron3はほんとにわかりやすいですね。偉大ですIZOTOPE・・・
ニー(Knee)
ニー(Knee)ですが、前述のスレッショルドを理解していないと分かりにくいです。
スレッショルドはある音量になったらいきなり圧縮を行うのですが、実はこれ波形にとってはかなり強引に形を変えることになります。
そうすると音の変化が急すぎて自然な感じがなくなってしまったりするのです。
それを防ぐため、スレッショルド付近になったら徐々に圧縮を開始させて、コンプを滑らかにかけるための設定値。
それがKneeです。
上図ではKneeをまったく設定しないでコンプをかけてます。
図でもわかりますが、圧縮の開始と終わりがはっきりしていますね。
こちらはKneeを強めにかけてみました。
先ほどと違いコンプの圧縮はしっかりかかっており、解除に関して滑らかに行われていますね。
この設定については、どちらがいいというものではなく、調整したい音の方向性によって変えるべきものです。
キック単体の音作りなら、メリハリが大切なので、Kennは無くてもいいと思います。
しかしボーカルや曲全体となれば自然さが大切だったりするので、適度にKneeをいれてもいいでしょう。
レシオ(Ratio)
レシオは簡単に覚えられると思います。
これはどのくらい圧縮するのかを決める「圧縮率」です。
スレッショルドの設定に引っかかって圧縮が開始された波形を、どのくらいつぶすのか(1/2にするのか1/10にするのか)を決めています。
このつぶし具合で音のキャラクターを調整していきます。
具体的に波形とサンプル音源で違いを確認していきましょう。
[無圧縮]
[レシオ2:1(2分の1ということです)]
これは圧縮率1/2なので、ほとんど変化は感じられませんね。
これの使い方としては、アタックがきつすぎて音割れを起こしてしまってる時の調整に使ったりします。
(聴感的というよりはデジタルの問題解決のために行っている感じです)
[レシオ20:1]
1/20までつぶすとさすがにわかりやすいですね。
キックのアタックがほとんど消えました!
サスティンを目立たせたい場合などは、逆に目立っているアタックを削ると相対的にサスティンが目立ってきます。
このようにレシオで圧縮する強度を決めています。
その場その場で目的に合わせて設定しましょう。
(スレッショルドと深く関係しているので、この項目はパターン化できませんのでひたすら経験です)
メイクアップ(MakeUp)
先ほどまでで波形を圧縮する原理、流れはつかめたでしょうか?
お気づきかと思いますが、圧縮する=小さくするということです。
どういうことかというと、もともとデジタルミュージックでは「0db」より大きな音を出すことが出来ないと説明してきました。
こちらの記事ですね。
014_コンプの使い方_Cubaseで始めるDTM - 出来ないことないCUBASE (dtm-inlife.com)
上記の様に、一番とがっている部分が邪魔をして全体の音量を上げられなかったのです。
しかしコンプを使って(上記ならアタックを削る)波形の形を調整してあげれば
波形を拡大した際により大きな波形として扱うことができます。
この拡大することを「MakeUp(メイクアップ)」といいます。
コンプはこのメイクアップをしない限り音を小さくしたままですので、これこそがコンプの真の目的といえます。
コンプを使うとは?
お疲れさまでした。
今回の記事は長丁場になってしまいました。
とても5分でわかるとはいいがたいですね。
しかし上記の様に、コンプのパラメーターにはそれぞれ目的と意味があり、その前にはいろいろな問題があるからこその設定値となっています。
楽曲製作の際に、今の問題は何か?解決の方向性は何か?を見極めたうえでコンプを駆使してもらうと上達が早いですよ!
ちなみに大活躍してくれたNeutron3はこちらです!
価格:24,200円 |