023_エクスプレッションマップの設定方法_Cubaseで始めるDTM
VSTインストゥルメントには様々な奏法が設定されております。
その奏法をアーティキュレーションというのですが、これらは「キースイッチ」と呼ばれるもので随時設定が可能です。
今回はそのキースイッチを設定する方法を紹介します。
VSTインストゥルメントトラックについてはこちら
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009_インストゥルメントトラックとは?(1)_Cubaseで始めるDTM
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奏法(アーティキュレーション)とは?
- スライド
- ビブラート
- ハンマリング
- プリング
キースイッチ
キースイッチとはパソコンのキーボードでいうファンクションキー(CtrlやShiftキー)のようなものです。
パソコンでは「C」という文字を打つと当然「C」文字が入りますが、「Ctrl+C」を行うとコピーができますね。
これと同じように、例えばギター音源なら
- C#1を押しながら音を出すと「スライド奏法」
- D1を押しながら音を出すと「ハンマリング奏法」
といった具合に細かく奏法を切り替えることができます。
このような感じですね。
※キースイッチの場所(MIDIノート)はソフトによって様々です。それぞれのソフトで確認してください。
キースイッチの指定は結構めんどくさい
このキースイッチ機能、便利ではあるのですが結構めんどくさいです。
なぜかというと、MIDIキーボード上では何の奏法を指定しているかわからないからです。
これはほんの一例ですが、ソフトごとに異なるアーティキュレーションをすべて暗記してMIDIで明記しなければいけません。
数が少ないのなら構いませんが、ソフトも本格的になればなるほど奏法は増えていきいます。
またソフトごとにキースイッチは違っているので、ソフト単位でも暗記する必要があります。
そんな時、MIDI画面上で奏法をわかりやすく入力するのに「エクスプレッションマップ」というものを設定します。
エクスプレッションマップ
まずエクスプレッションマップを設定するとどのくらいわかりやすくなるのかというと
こんな感じの見た目になります。
またそれぞれの奏法切り替えに関しても、項目を選択するようにして入力できます。
どうですか!すごく便利ですよね!
それでは実際の設定方法を解説していきます。
エクスプレッションマップの設定方法
それでは実際に設定を行っていきましょう。
※ソフトごとのキースイッチはあらかじめ確認を行ってください。
まずはMIDIトラック内の編集画面を開きます。
その画面の左上に「エクスプレッションマップ」というタブがあります。
最初は設定していないので、「マップなし」となっているはずです。
ここに新たにマップを作っていきます。
「マップなし」>エクスプレッションマップ設定を選択します。
するとこのように見慣れない画面が出ましたね。ここでエクスプレッションマップを設定していきます。
この画面実用性を追求した結果このようにシンプルになっているのですが、初見にはすごくわかりにくいです。
ガイド付きで自動的に設定できるようにしてくれればいいのにと、初めのころは思っていました。
エクスプレッションマップの完成形
まずは完成形をお見せしたいと思います。
大体こんな感じに仕上がってくるのですが、それぞれの項目を細かく解説していきます。
マップ(大区分)の作成
まずは何のエクスプレッションマップを作成するのか決めましょう。
ここはパソコンでいう「フォルダ」のようなイメージです。
ここで作成したマップにいろいろな情報を盛り込んでいきます。
奏法と発動条件の設定
次に何の奏法をマップに組み込むのか設定します。
このようにしてまずは必要な数の奏法を作成しましょう。
そしたらキースイッチの発動条件を設定します。(リモートという箇所です。)
これで各種の奏法と、その奏法がなんのMIDIで発動するのか設定できました。
次は、発動条件を満たすとなんのMIDIを出力するのか設定します。
出力マッピング
先ほどまででキースイッチの発動条件(リモート設定)は完了しました。
そしたら次は発動した際に、実際は何のMIDIを出力するのか設定します。
ここの設定は図で表すと
このような感じです。
まぁ、大体は入力と出力は一緒の設定にするのが普通ですが、場合によっては入力キーを自分の使いやすいキーに設定することもあると思います
(ライブを行う際は自分の手が届く近い位置に入力スイッチを設定したりします)
これで入力と出力の設定は完了です。
そしたら次はCubase上で表示する内容を決めていきます。
Cubaseで表示させるための設定
最後にCubaseで実際に表示させて使用するための設定を行います。
ここの設定を行っていないとCubase上では使用できないので注意です。
(おそらくパラメーターは出来上がっていても項目名が無いので読み込みができないとかでしょうかね)
少しわかりにくいのですが、
それぞれの設定項目はCubase上でこのような箇所に反映されます。
それでは最後の設定を行っていきましょう。
・・・実にわかりにくいのですが、ここの4番目の項目(アーティキュレーション)については、今まであった「+」や「-」のボタンがありません。
実はここの設定は2番目の項目、サウンドスロットから行います。
サウンドスロットエリアの2列目、
この「アーティ1」と書かれてる部分に設定していきます。
※アーティキュレーション1という内容がエリアの都合上見切れて表示されています。
こんな感じですべての項目を設定していきましょう。
そうすると最初にご覧入れたこちらの画面とほぼ同じ内容が出来上がると思います。
(一部表示内容は入力次第なので違いは出るかもしれませんが)
これで基本となるエクスプレッションマップの設定は完了です。
エクスプレッションマップの保存と読み込み
先ほど作成したエクスプレッションマップはとりあえず作成しただけで、まだ正確には保存されていません。
ですのでこのままCubaseのプロジェクトを終了してしまうと消えてしまいます。
しっかりと忘れずに保存しておきましょう。
エクスプレッションマップの読み込みと使用方法
最後に簡単ですが、エクスプレッションマップの読み込みと使用方法をご説明します。
先ほどまでの手順でエクスプレッションマップを作成した場合は、すでにマップが読み込まれていますが新規でプロジェクトを作成した場合はまだ読み込みがされていません。
なので先ほど保存したエクスプレッションマップを読み込んで、プロジェクトに認識させてあげる必要があります。
エクスプレッションマップの読み込み
このようにして既存の作成済みエクスプレッションマップを読み込みましょう。
さほど難しいことはありませんので簡単ですね。
ただし注意してもらうのは、この作業はあくまで「プロジェクトにマップを認識させる」という段階です。
ソフトを複数使用している場合は、エクスプレッションマップも複数必要になってきます。
上記図の赤四角内を読み込んだだけですね。
まだどのマップがなんのソフトにつながるのか指定していません。
マップを各音源に割り当てる設定
いよいよ各ソフトにマップを割り当てていきます。
この設定が完了すれば9割5分エクスプレッションマップの設定は完了です。
まずは読み込ませたいMIDIトラックの編集エディターを開きます。
そしたら画面左上の「エクスプレッションマップ」からマップを読み込みましょう。
はい!これで読み込みは完了です!
エクスプレッションマップ(キースイッチ)の使い方
最後になりますが、簡単に使い方をご説明していきます。
まずはそれぞれのMIDI(音階)になんのキースイッチが使われているのか、目視でわかるようにしましょう。
MIDIエディターの下側は通常「ベロシティー」になっていると思います。
ここの項目、実は自由に変えることができるのです。
今回はベロシティーから「アーティキュレーション」に変更します。
これでそれぞれのMIDIデータになんのキースイッチが設定されているかわかるようになりましたね。
次に実際のキースイッチの設定方法ですが、2種類あります。
- 先ほど作成したアーティキュレーションエリアに直接書き込む方法
- MIDIデータを選択して個別またはまとめて設定する方法
順番に説明していきます。
まず1の方法ですが、こちらは先ほど作成したアーティキュレーションエリアに直接鉛筆ツールを使って書き込みます。
この際書き込む位置はMIDIノートのトップ位置になります。
次に2のMIDIデータを選択して個別またはまとめて設定する方法ですが、私としてはこちらの方法を強くお勧めします。
設定方法ですが、MIDIを選択したら上部の「アーティキュレーション」欄でリストから選択します。
以上がエクスプレッションマップの設定と使い方です。
エクスプレッションマップは使いこなせると非常に心強い支援機能なので、是非活用していってください!