VCAトラックはCubaseに内蔵されているトラック種類の1つ
Cubaseには様々なトラックの種類が用意されています。
- Audio トラック
- MIDIトラック
- グループトラック(バストラック)
- マーカートラック
- Etc・・・・・・・・
今回はその中でも、なかなか馴染みのないトラック
「VCAトラック」
についてご紹介していきます。
VCAトラックとは?
これは先日ご紹介した
「グループトラック(バストラック)」
に効果が似ているのですが
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027_Cubase中級テクニック グループトラック(バストラック)の使い方_Cubaseで始めるDTM
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グループトラックはトラックに集まった音を処理するのに対して、
VCAトラックは指定したトラックのボリュームフェーダーを調整します。
つまりはボリュームフェーダーの遠隔操作みたいな感じです。
またこのVCAトラックはフェーダーバランスを変えることなく、指定トラックのフェーダーを調整します。
ちなみにVCAトラックにはグループトラックと違い、プラグインエフェクトを挿入できません。
■VCAトラックで出来ることは
1 | フェーダー操作(音量調節) |
2 | ミュート |
3 | ソロ |
のような、音量に関することのみです。
VCAトラックとグループトラックの使い分け
この使い分けの一番のポイントは
「センドエフェクトを使っているか否か?」
- センドの音も含めて一つの音になるのならVCAトラック(ボーカルとか)
- 音量調節は行わず、まとめてエフェクトをかけるならグループトラック
となります。
これは先ほど説明したグループトラックとVCAトラックの原理の違いによります。
グループトラックはセンドの音を含まない。
まずグループトラックは、集まった音に対して調整を行うと説明しました。
この集まる音というのは、インサートエフェクトを通過した原音になります。
センドエフェクトによって生じたリバーブ音や、ディレイ音はグループトラックに行きません。
つまり、センドトラックを活用しているトラックについては、グループトラックで音量を調整すると
「原音は大小出来るが、センドの音は一定のまま」
という現象が起きてしまいます。
こうすると、せっかくリバーブやディレイと組み合わせていい音が作れたと思っても
バランスを崩してしまうということです。
VCAトラックのメリット
VCAトラックのメリットは2つあります。
- 原音とセンドトラックとのバランスが崩れない
- まとめてボリュームオートメーションが書ける
になります。
1.原音とセンドトラックとのバランスが崩れない
まず、「原音とセンドトラックとのバランスが崩れない」ということですが、
VCAトラックの仕組みは下記の様になっています。
[VCAトラックの流れ]
- VCAトラックのフェーダーを操作する
- 関連付けされたトラックのフェーダーが変わる
- トラックのフェーダーが変わるので、センドの音が変わる
- お互いに調整された原音とセンド音がマスタートラックに送られる
のようになりますので、結果として原音とセンド音のバランスが崩れることがありません。
2.まとめてボリュームオートメーションが書ける
次に「まとめてボリュームオートメーションが書ける」についてです。
そもそもグループトラックとの違いは、センド音に影響を与えるか否かです。
複数のトラックをまとめて音量調節したい時というのは結構ありますが、
(例えばストリングスとピアノを同じように盛り上げたい等)
そんな時に役立ちます。
もしもグループトラックでまとめた音にボリュームオートメーションを入力すると、
「原音は大小するのに、センド音だけ全く変わらず、どちらかの音が悪目立ちする」
といったことが起きます。
そんな時にVCAトラックを使い、まとめてボリュームオートメーションを書いてあげると
違和感なく自分の思い描いたとおりに盛り上がりを表現できます。
VCAトラックの使い方
それでは実際にCubaseでのVCAトラック設定方法を見ていきます。
まずはこちら、ピアノ・オルガン・ストリングスのトラックがあります。
こちらの3点をVCAトラックでコントロールしてみましょう。
VCAトラックの挿入と指定トラックの選択
まずはVCAトラックでまとめたいセクションのトラックを選択します。
(Ctrlを押しながら選択していくと、複数のトラックを選択できます)
選択後「右クリック」を押し、メニュー画面を開くと
上記の様に
「選択チャンネルをリンク」
というコマンドがありますので、選択しましょう。
そうすると、このようにリンクグループの設定画面が現れるので
- 新規のリンクグループ名にわかりやすい名前を入れる
- 「VCAフェーダーを使用」にチェックを入れる
- [VCAフェーダーを選択]の箇所を「新規VCAフェーダー」にする
その後、OKを押します。
※下の部分はVCAフェーダーを作成するなら、何でも構いません。
どうせ、ボリュームフェーダー・ソロ・ミュートしか操作できませんから(笑)
すると先ほど選択した3トラックに対するVCAフェーダーが出来上がりました。
これでVCAトラックの作成は完了です。
簡単ですよね!
試しにVCAトラックを操作してみましょう。
グループトラックとVCAトラックは上手に使い分けよう
いかがでしたでしょうか?
似ているようで、仕組みを理解すると全然違う2つのトラック。
それぞれ得意なこと(目的)が違いますので、製作途中の状況に合わせて使い分けてみてください。
上手に使いこなせればMIXがきっと楽になりますよ!